「法人化」には、後述の任意団体の法人化と、個人事業主の事業の法人化(いわゆる「法人成り」)がありますが、ここでは主に、任意団体の法人化を取り上げます。


任意団体とは
 一般的には法人格(法律上の人格)を持たず、任意に(自由に)存在する団体のことを言います。自治会、大学などの同窓会、趣味のサークル、ファンクラブ、イベントの実行委員会などのほか、中には名前が○○協会、〇〇連盟などでも実は任意団体の場合が結構あります。
 なお、その団体が単なる個人の集合体ではなく、代表者や管理者を置いて何らかの目的をもって行動する場合(ほとんどの場合がそうだと思いますが)、法人税法上は「人格のない社団等」と呼ばれ、法人とみなされます(法人税法第2条8号、および同第3条)。つまり、一定の収益事業を行って利益が出ていると、法人税と法人住民税が課税される場合があります。



「法人化」のメリット、デメリット
 いわゆる「法人化」とは、任意団体に法律上の人格(法人格)を与え、命を持たない「団体」というものを人扱いして、行為能力を持たせることを目的とします。
 なお個人事業主の方が、会社を作って事業を法人化する場合は、前述の通り、特に「法人成り」という言い方もします。

【メリット】
運営が(広い意味で)公の監督下に置かれることで対外的な信用力が高まる 
 NPO法人は知事の監督を受け、また一般社団法人は、役員に特別背任罪や収賄罪が適用されますので、「勝手に作ってやってる団体よりも、内部のお金のことやコンプライアンスは一応ちゃんとしているだろう」という推定が働きます。

団体が契約や許可等の主体になることができる 
 契約の主体になれるということは、金融機関で団体名で口座を開設できるということです。
 また団体自体が許可の主体になれますので、許可事業は代表者の交代が起こっても、要件を満たしている限り許可に影響がありません(個人事業の場合、許可の対象となるのは原則としてその社長さん限りとなります)。

法人であることが許可等の要件になっている場合は取得できるようになる 
 介護事業所の指定など。


【デメリット】
法人住民税の課税 
 「人」扱いされますので住民となり、事業が赤字でも、毎年、法人住民税が発生します。

運営コスト、手間の増加 
 法律で決められた会議の開催や、それによる議事録等の作成、決算公告、変更事項の登記など(役員の変更時や、変更がなくても毎回の任期ごとに登記します)。
 また、
社会保険への加入義務が発生します。


 要するに、法人化すると一般的にはコストや事務作業の手間が増加します
 しかし同時に活動の幅、ビジネスチャンスを増大させるチャンスですので、メリットになる部分と比較して中長期的に見て黒字化できるのであれば、ぜひチャレンジしたいものです。



定款づくりに注意
 また既存の団体を法人化する場合には、その団体がそれまで培って来た内部の仕組み(いわばローカルルール)と法令とを定款づくりの段階でマッチングさせる必要があり、全く新規に立ち上げるのとは違った苦労があります(そこは行政書士の腕の見せ所です)。
 例えば、NPO法人や公益目的法人を目指す一般社団法人では、役員の中の親族の数に制限がありますので、抵触する場合は変えなくてはなりませんし、欠格事由もあります。また、目的の書き方や商号(屋号)も、法令上、ふさわしくないものや禁止されたものについては見直す必要があります。 
 総会を開催する時期も税務の都合で決められていますし、決議の方法や、役員、代表者の呼び方に独自のルールがある場合は確認が必要です(一般社団法人の役員を「評議員」と呼ぶ場合など)。

 これらについて、会員の方が多い団体は合意形成の為に、会議のための会議や打ち合わせを何度も開いたり、何かと時間がかかる場合がありますので、早目の準備をお勧めします。