重要書類を書き間違った場合は?
 本当は新たに書き直すのがベストです。
 特に遺言を書き間違った場合は、可能な限り書き直すのが無難です。なぜなら、本人が適切に修正したとしても「誰かが改ざんした」と誤解される可能性があり、余計な混乱を生むからです。
 なお書き損じた書類も事実上の効力を持ち続ける場合がありますので、すぐに裁断するなどして確実に処分しましょう。


訂正の方法
 書類の種類や提出先によって訂正の方法や厳しさが若干変わりますが、だいたい次のやり方でOKです(ただし遺言を除く)。


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①訂正箇所を打ち消す
間違った部分を2本線「=」で打ち消します。決して修正液は使わないでください。

②必要に応じて加筆する
書き直す場合は(出来るだけ)打ち消し部分の上に書きます。また、文字を挿入する場合は、吹き出し(<、})のようにして、「この文字とこの文字の間に書き加えますよ」というのを明確にします。

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③訂正した内訳を書く
・訂正した行と同じ行の余白や、同じページの上部「欄外」、または最終ページの下部分に記入することが一般的です。
・削除の場合は、「〇行目〇字削除」、「本行〇字削除」、「第〇条をすべて削除」、書き加えた場合は「〇字加入」と書き添えて押印します(契約書などの場合は、当事者全員がハンコを押します)。


文字に重ねて訂正印を押すのはダメ?

・一般的によく知られた訂正方法ですが、文字と重なると印影が分からなくなりますので、すぐ近くにずらしてもいいと思います。
・契約書や議事録など当事者が多いとき、また修正箇所が多いときは、押印で文章が読みづらくなりますので、やはり欄外で訂正する方がきれいにできます。
【例外】後述の「捨印」を認めていない金融機関では、欄外での訂正を受け付けない場合がありますのでご注意ください(おそらく訂正後の
見た目が捨印と同じになるため)。

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当事者が多い場合は?
 議事録など当事者が多い場合は、訂正箇所ごとに全て押印すると、手間がかかるうえ、文字が見づらく、また見た目も良くありませんので、巻末の一番最後のページの下部に、後述の「捨印」を貰い、まとめて訂正箇所を記入するのが一般的です。

※繰り返しですが、遺言は訂正の方法が民法で特別に定められており、こちらで紹介している方法では訂正できません。




ハンコについての注意
・印影を確認するため、できるだけ文字にかからないようにして押します。
・特別に指定がなければ、ハンコは実印である必要はありませんが、通常、実印は本人のみが使用し、また印鑑証明書は簡単に他人が取得できませんので、実印が押されていると、本人が作成し意思が示されているものと推定されます。よって重要な書類については実印を使用し、加えて印鑑証明書の添付をお勧めします。
・押印は印影がはっきりと写るようにきれいに押します。かすれたり、欠けたり、にじんだりした場合は、すぐ隣に押し直せば大丈夫です(なお、押し間違った印に少しかかるように重ねて押印し、その横に押し直すとより丁寧な訂正になります)

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捨印とは?
 書類の欄外に「捨印」を求められる場合があります。これはあらかじめ訂正印を押しておくことを意味し、捨印があると、書類を受け取った人は後から自由に文章の加除ができます(ただし、訂正するのは誤字の修正など、軽微な変更にとどめましょう)。
 訂正のためには非常に便利ですが、渡した相手に内容の変更を一任する行為ですので、信頼できない相手には控えたほうが良い行為です。また契約書など書類の内容によっては信頼できる相手であっても絶対に押してはいけない場合もあります。