会社設立の際、定款に「商号」を定める必要があります。商号というのは、つまり会社の名前のことですね。

 これが、実はなんでもOKとはならなくて、「使ってダメなもの」、「良いもの」、そして「個別の判断がいるもの」とあるわけです。
 例えば、銀行ではない会社は、紛らわしいので商号に「銀行」という文字を入れてはいけないし、「保険」なども同じ理由で使えません。なお単に「バンク」もダメなようです(昭和45・11・12民四5754号回答。「有限会社バンク」について)。
 「じゃあ、ソフトバンクは?帝国データバンクは?」となりますが、ほかの言葉と組み合わさることで、「金融機関である銀行」ではないことが分かるので、この場合はOKなのです(OKだから存在しています)。

 ここでポイントなのが、制限されているのが「文字」の使用ということですね。「ぎんこう」という読み方や、金融機関という意味は関係なく、例えば「白銀 行」(しろがね すすむ)さんという方が作った「株式会社白銀行」(かぶしきがいしゃしろがねすすむ)は、「銀行」という文字が入っているので(個人的には)微妙にダメな感じがします。
 なお、「銀行法」という法律で使用が禁止されているのが銀行という「文字」であるのに対し(銀行法第6条第2項)、「商工会法」では商工会という「名称」という表現になっています(商工会法第5条第2項)。
 そのまま文字通りの文理解釈をすれば、商工会の「文字」は使ってよい(発音が違うなら特に)とも取れますがどうでしょうか。

 実は先日、商工会について、先ほどの「白銀行」さんの時のような判断に困るケースに出くわしまして、「新しい先例になるかも」と密かに期待しています。

【追記】
 某公証役場に確認したところ、「定款認証については問題ないが、登記できるかは法務局に確認してほしい」との回答でした。