各種の契約書、協議書、議事録、証明書など、これら法律書類と呼ばれるものは、一人の方が何か所もハンコを押す場合がありますが、ハンコの押し方、目的によっていくつか種類があります。

①契印(けいいん、ちぎりいん)

 契印とは、文書が複数枚に渡る場合に、その連続性、一体性を証明するために綴じ目に押すものです(綴じ目のすべてに押します)。
 例えば、契約書が3枚にわたる場合は、3枚を一冊に綴じて、1枚目と2枚目の間、2枚目と3枚目の間というように全ての綴じ目に押印することで、中身のすり替えや抜き取りを防ぐことが出来ます。
 契印については、個別法で義務付けや、方法の指定がされている場合がありますので、注意が必要です(不動産登記法、内国郵便約款など)。



契印1


製本テープの場合
 製本テープで製本した場合には、製本テープと表紙の境目に押す場合もあります(なお、この場合、表紙と裏表紙の2箇所押すパターンと、表だけでいいという説がありますが、公証人と相談したところ、「表の一か所でいい」という事になりましたが、表裏の両方に押印を求める公証役場もあり、ローカルルールがあるようです。両面押すことが可能な場合は、押しておくに越したことはないように思います)。

契印

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契約書で使う製本テープは、押印が見える白いものを使います。
当事務所の愛用は、信頼のニチバン社製です。



 なお、下の写真のように、綴じ目ではなく、折り返した部分に押す場合もあります(公正証書などは、紙の上部を縦に少し折って契印する公証人もいますね)。
 ただし「内容証明郵便」での契印の方法は、「つづり目に」と明記されていますので、下の方法は使えないと思われます(内国郵便約款 第123条第3項)。


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②割印(わりいん)

 割印は、同一内容または一体性のある文書が複数存在する場合に、その同一性を証明するために、他の文書とまたがって押すものです。2枚は切り離されますので、印影は割れることになります(それで割印といいます)。

割り印

 例えば契約書を2冊作成する場合に、2冊を少しずらして重ねて押印することで、2冊に半分づつの押印が残ります。これと契印の組み合わせによって、お互いに改ざんやすり替えを防止します。
 たまに、契印と割印をひとくくりにして「割印」と呼ぶ方がいますが、正確には二つは異なる物です。



③消印(けしいん)

 消印は印紙や切手を貼った上から台紙とまたぐようにして押印し、使用済みであることを示す為のものです。郵便物でおなじみのあれですね。
 消印は再利用を防ぐ趣旨のものですので、消印をするのは当事者(または代理人)のうち誰か一名だけでもよく、また押印でなく、またぐように署名してもかまいません。
※なお申請書等に、申請手数料として印紙や証紙を貼る場合(登記簿謄本や、納税証明書の請求など)は、消印をしてはならないケースも存在しますので、よくご確認ください。 



④捨印(すていん)

 捨印は、文書を書き換えて訂正したことを示す「訂正印」を、あとから当事者に貰いにいく手間を省くため、あらかじめ文書の欄外(文書の上部、また議事録などは最終頁の下部が多い)に押すものです。誤字や軽微な内容の修正のために使われます。
 捨印は、一定の限度はあるものの、あとから自由に内容を変更できることから、白紙委任状にハンコを押すようなものであり、文書を渡す相手が信頼できる場合で無ければ押してはいけません。特に契約書や借用書等には絶対に捨印は押さずに、面倒でもその都度訂正するか、書き直してください
 ※金融機関では捨印での訂正の取り扱いはしていないようです。欄外で訂正することは見た目が捨印の場合と変わりませんので、訂正箇所に押印を求められます。

修正液を使わない文書の訂正の仕方




⑤止印(とめいん)
 止印は、文書の末尾に余白がある場合に、余計なことを書き加えられないように、「これ以降にはなにも書かれていませんよ」というのを示すために文末に押すものです。「以下余白」と書いたり、請求書の余白に斜線を入れたりするのと同じ意味です。




朱肉のつけ方
 よく、判子を押す時、朱肉をたっぷりつけて、判子をぎゅっと紙に押し付ける方がいますが、印影がにじんでしまい、あまり綺麗になりません。
 私のやり方ですが、朱肉は「ポンポン」と軽くつける感じにして、判子を紙に当てたら時計回りに力を入れていくイメージで押すときれいに写ります。
 また、安いプラスチック製のものよりも、少し高い木製の判子の方が朱肉のなじみが良く、紙への写り方が綺麗で丈夫ですので、人生の大切な場面で何度も使う実印ははんこ屋さんに注文して、一生モノをご用意いただくことをお勧めします。