(この記事は4/30に福島民報「民報サロン」に掲載された文章の原文です)

 4月から6月は、いろんな団体で「総会」を開催する時期ですね。総会は、役員の人事や予算、あるいは新年度の活動方針などを話し合い、団体としての意思を決定する大切な日であると同時に、日ごろ疎遠な会員同士が久々に顔を合わせることができる大変楽しみな日でもあります。

 先日、ある団体から「一般社団法人」の設立についてのご相談がありました。「一般社団法人」、昔は単に「社団法人」といいましたよね。子供の頃、私にはなんとなく「真面目な団体」というイメージがありました(今の「一般社団法人」が不真面目であるという意味では決してありません。念のため)。

 あと似たような名前のものに「財団法人」がありますが、あれも今は「一般財団法人」といいます。
 その昔、これらの法人を作るには活動目的の公益性や主務官庁の許可などの要件があって、まさしく「真面目な団体」でした。現在はこれらの要件が無くなり、一定の人的または財産的な要件を満たして書類を揃え、税金を納めて登記をすれば誰でも自由に作れるようになりました。そのかわり、特に公益性が認定された団体はそれぞれ「公益社団法人」、「公益財団法人」となることができ、こちらは税の優遇があり少し別格です。それで「一般」をつけて区別するようになりました。

 「社団法人」とは「人の集まり=社団」に法人格(法律上の人格)を与えたものです。有名どころとしては、音楽家の著作権を管理するあの団体や、プロ野球チームを統括するあの団体でしょうか。まさしく人の集まりですね。
 一方で「財団法人」とは「お金の集まり=財団」に法人格を与えたものです。少しイメージしにくいですが、例えば大企業や資産家などが社会貢献活動などをするためのお金を管理する団体として、「〇〇財団」などを作るためによく使われています。
 そして「任意団体」とは、一般的にはこれらの法人格を持たない団体のことを言います。自治会、大学などの同窓会、趣味のサークル、ファンクラブ、イベントの実行委員会などのほか、中には名前が○○協会、〇〇連盟などでも実は任意団体の場合が結構あります。

 任意団体のいわゆる「法人化」は、運営が(広い意味で)公の監督下に置かれることで対外的な信用力が高まるほか、団体が契約の主体になることができたり、営業許可などを受けるために必要であることから長年の悲願となっている団体も多いようです。
 その一方で、税金や運営コストの増加など検討材料も多く、なかなか踏み出せない方がおられるのも実情です。また既存の団体を法人化する場合には、その団体がそれまで培って来た内部の仕組みと法令とを定款づくりの段階でマッチングさせる必要がありますので、新規に立ち上げるのとは違った苦労があります(そこは我々の腕の見せ所です)。

 これからの時期は皆様の団体でも法人化が話題になるかも知れません。会員の方が多いと合意形成の為に会議や打ち合わせを何度も開いたり、何かと時間がかかる場合がありますので早目の準備をお勧めします。総会後の下半期を準備期間に充て、来年度から新法人でのスタートを目指すスケジュールで進めるのもいいかも知れませんね。