農地法第5条許可の取得(いわゆる農地転用)をご依頼いただくと、まず土地の登記簿を拝見します。
 そうしますと、「昔、田んぼや畑を担保に知人からお金を借りた」ということなのでしょうか、土地に担保権(多くは抵当権)が付着していることがあります(あとは、宅建業者が分譲地とする際に、抵当権を設定して銀行から事業資金の融資を受けるという場合もあるようです)。

 この抵当権、転用の申請をする際には、(※)原則として、あらかじめ抹消するか、抵当権者に転用の同意をもらう必要があります(そういう運用になっています)。
 抵当権が付着したままだと、将来、この抵当権が実行されて、土地の所有者が変わり、計画が実現しないおそれがある、ということからでしょうか。
 抵当権者がお元気で近くに住んでいる方なら良いですが、すでに亡くなっていたり、重度の認知症になっていたりしていたら、同意書をもらったり、登記の抹消を行うのは、不可能ではないですが、困難で、お金や時間がかかります。 
 また、金融機関が抵当権者の場合、手続きに必要な書類の発行を依頼すると非常に時間がかかります(2週間から1カ月程度)。特に古い抵当権だと、金融機関は再編を重ねていますので、すでにその銀行などが存在していない場合があります。その場合はほかの金融機関に引き継がれていたりしますが、それゆえ「調査中」の回答が続いて、気を揉む毎日を重ねることになります。  

 農業委員会に対する許可申請というのは、締め切りが月に1回で、そこに間に合わないと翌月ということになりますが、ビジネスとしての事業を計画している場合は、その間の遺失利益や借入金の利息が発生します。抵当権などの担保権がついている場合は、最優先で処理を行うようにすることが、許可を早めるポイントです。


 ※当事務所で扱った案件で、抵当権が付着しているにもかかわらず、許可となったケースがありました。一律ではなく、可否は個別の事情に応じて判断されているようです。