tatemono_cafe
 

 数年前から若い女性を中心に、カフェを巡ることが人気になっています。そういえば個性的でおしゃれなカフェをあちこちで見かけますね。プロフィールの趣味の欄に「カフェ巡り」と書いている人もいます。その点、私は昔ながらの純喫茶が好きですね。大きな花柄デザインのベルベットソファーに腰掛け、うっすらと水滴の細かい汗をかいた銅製のカップでアイスコーヒーを飲み、厚切りトーストの「モーニング」を、民報を読みながらゆっくりと食べる。お店によって、ゆで卵の所とスクランブルエッグの所がありますが、そこは人によって好みが分かれるところですね。できれば完全禁煙がいいな。天井にはシャンデリア、壁の一方は鏡張り、室内は全体的に飴色の配色。大変に優雅で贅沢な時間の過ごし方です。  

 さて最近、この奥会津でも個性的で変わったカフェが増えてきました。「オレンジカフェ」と言います。認知症の方やそのご家族、医療や福祉の専門職、そしてご近所さんなどが集ってお茶や会話、交流を楽しむ、いわゆる「認知症カフェ」と呼ばれるものです。私は今年から、認知症など判断能力が十分でない方に代わって財産の管理などを行う行政書士の団体で活動していまして、情報交換と勉強のため、そして後述の「誰かとしゃべるため」に、ほぼ毎週、多い時は週に2回ほど奥会津の「認知症カフェ巡り」をしています。  

 カフェに来るのはやはり女性が中心で、だいたい10人前後のところが多いですね。自動車の運転免許を返上している人も多い中、バスや乗り合いタクシーで来たり、中には自宅から40分も歩いて来ている人がいました。「どうしてそこまでして」と聞くと、お一人暮らしで、とにかく外に出て誰かと話したくて毎回楽しみにしているとのこと(帰りはお送りさせていただきました)。私も事務所で一人だけで仕事をしていると誰とも話さない日が結構あるので、なんだか最近は声が小さくなった気がします。そして何より一人でいると「笑う」ということがありませんので、皆さんがカフェの日を楽しみにしているお気持ちが大変よく分かります。  
 さて、どちらのカフェでもたいてい毎回その日に話すメインテーマがあって、先日行ったある場所では役場の方が「介護保険制度」について、別な場所では看護師さんが「高齢者医療」についてのお話をされていました。テーマの字面だけ見るとなんだか堅苦しくて、行くのをためらってしまいそうですが、いわゆるセミナー形式ではなく茶飲み話の「ネタ」としての勉強会ですので、大変面白く、また分からないことを気軽に専門家に聞ける雰囲気があります。あとはせっかくの「カフェ」ということで、この日に合わせて特別なコーヒーやお菓子を用意する場所もありました。贅沢でいいですね。  
 
 私が調べたところ、オレンジカフェは県内各地で開かれており、会津だけでも約30あるようです。自治体が開くもの、医療や福祉の関係機関、その他の団体が開くもの、毎月やるところ、不定期のところ、有料、無料と様々ですが、きっと皆さんのお近くでもやっていますので、是非、お気に入りのオレンジカフェを探してみてください。

(この記事は3/1に福島民報「民報サロン」に掲載された文章の原文です)