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 雪の多いこの冬、屋根の上に大量の雪を載せた空き家を目にします。また屋根からの落雪が前の道路を半分ふさいでいるのもよく見ます。奥会津はいい方が多いので、みんな文句を言わず黙ってよけて通り過ぎて行きますが、落雪が通行人や走行中の車両を巻き込んで事故が起きないか、また雪の重みで建物が倒壊しないか心配になります。
 数年前から、「空き家管理」を請け負う不動産屋さんや専門業者が増えてきました。管理費用はひと月 100円から数千円まで様々ですが、それにしてもなぜ毎月お金を出してまで空き家を管理しなければならないのでしょうか。その理由は大きく分けて二つあります。

 一つ目は「財産の保全としての空き家管理」です。建物は人が住まなくなると速いスピードで傷んで行きます。空き家の劣化が早い理由はいろいろありますが、例えば私が去年に調査に伺った空き家は、台所の換気扇が何かの拍子で丸ごと外れていてそこから動物が入り放題でした。窓から鳥が飛び出してきた家もあります。こんな衝撃的なことが起きても、誰も出入りしないために気づくことが出来ないのです。将来、売却などの処分や、何らかの利用をお考えなら財産の価値を保つために早目に継続した管理が必要です。
 そして二つ目は「法律上の義務としての空き家管理」です。建物の所有者や、そこに住む人などは建物や庭木などを適切に管理する義務があり、それを怠って他人に損害を与えた場合は法律上の責任を負います。例えば冒頭の「落雪事故」の場合、建物の所有者等に管理について問題があると判断されれば、被害者に対し損害賠償などの民事上の責任を負いますし、また建物に倒壊の恐れが出た場合には行政から「特定空き家」に指定され、行政上の責任を負うかもしれません。特定空き家に指定されると税制面で不利になるほか、放置すると、段階を経て最終的には行政が代わりに家を取り壊すなどをし、その費用を請求されます。中には「業者に頼む手間が省けた」という人もいるようですがその考え方は危険です。

 ところで、現在私が事務所として使っている建物もかつては住宅の空き家でした。大きさも手ごろで立地もまずまずなのですが、私がこの建物を借りるにあたり大家さんは少し心配していたようです。それは風呂が付いていないからですが、行政書士の事務所として使う私には全く関係ありませんでした。実はこのように持ち主が空き家の隠れた価値に気づいていないことがあります。例えば小さい家は若い単身者が好みますし、立地によっては店舗や事務所、別荘、また今後は民泊事業用の物件として使える可能性があります。古くて住めなくても壊して更地にすれば公共の広場として地域で活用できますし、また隣の人が敷地を広げるために買ってくれる場合も多いです(奥会津には5軒並んで空き家というのもありますが)。

 春は就職や異動などで人が動く時期です。空き家を抱えてお困りの方は、この機会に自治体の担当課や空き家を扱う業者さんなど、専門家に一度相談されてみてはいかがでしょうか。ご自分の空き家の意外な価値に気づくかもしれませんよ。

(この記事は3/1に福島民報「民報サロン」に掲載された文章の原文です)