「遺言なんて書いてる人、見たことないよ」。

そう言われるかもしれませんが、まあ聞いてください。僕はその分、「相続が大変だった」と言っている人をたくさん見たことがあります。

たしかに書かなくても差し当たり問題がない場合もあります。でも「できたら書いたほうがいい場合」あるいは「書くことを強くお勧めする場合」、そして「必ず書かなければならない場合」とあります。

なお、

「自分が死んだ後のことは興味はない」
「親の相続の際の面倒さと出費には耐えられる」
「死んだ後にいくら悪口を言われても平気。墓参りも来なくていい」

という方は一切書かなくて大丈夫です笑。


【できたら書いたほうがいい場合】

持ち家で夫婦二人暮らし、または一人暮らしの場合
→亡くなった後に空き家となりますが、多くの場合そのまま放置され、子や兄弟に経済的にも負担をかけます。

友達と大きな買い物(別荘、ボート、土地など)をした場合
→お友達と自分の相続人の共有になります。お友達は困りますね!家族にも思いもよらない税金がかかるかもしれません。

今の家族の外に子供がいる場合
→遺言がないと、前の相手との子供と今の家族が一堂に会して財産の分け方について協議をします。
子供が小さければ代わりに親が来るでしょう。弁護士さんが来るかもしれません。その時の家族の姿を想像してみてください。



【書くことを強くお勧めする場合】

子供が複数いる人で、子供に事業(農業やお店、工場等)を継がせたい場合
→経営者の死亡により事業財産が遺産分割の対象となり、事業の継続が困難になる可能性があります。

音信不通、または意思能力を欠く推定相続人がいる場合
→遺産分割協議はすべての相続人がそろわないと出来ません。
行方不明などでどうしても揃わない場合は裁判所に言って、代わりの人に入ってもらいます(費用と時間がかかります)。
そして代わりの人が分け前を譲ってくれないと、かなり困る場合があります。

子供がいない夫婦で、かつ両親がすでに亡くなっており、兄弟がいる場合
→家や土地、預貯金は、愛する夫や妻の他に兄弟たちにも引き継がれます。
全てを配偶者に残したい時は書くことをお勧めします。

財産でもめることがすでに予想できる場合
→家族仲だけでなく、相続人の妻などの家族、債権者(借金取り)が間接的に関与する可能性も頭に入れておきます。

高額な不動産を生前贈与したい場合
→不動産の価額によっては贈与税、不動産取得税、また登録免許税の3つの税金がかかりますので、
特別な事情がない限り、生前贈与よりも公正証書遺言を作り、相続時に引き渡す方法をとるほうをお勧めします。


【必ず書かなければならない場合】

相続人でない人に財産を与えたい場合
→苦労を掛けた内縁相手や前婚相手、かわいい孫、療養看護にあたった他人など特に感謝している人。本人に自分から請求をさせますか?

法定された相続分を変える特別な事情がある場合
→大学に行かせた子と、高校を出てすぐに働かせた子とで、後者に大学の学費相当分の財産を与えたい場合など。その際は差をつけた理由を必ず添えます。


なお、「遺言」は「遺書」を連想させて縁起が悪い、気持ち悪いという方は、自分の持っている財産をリストにまとめた「財産目録」や「エンディングノート」を作ることをお勧めします。
預貯金や不動産のほか、人に貸しているお金や著作権などの目に見えないものも財産です。マイナスの財産である借入金も隠さず必ず入れます

くれぐれも漏れの無い様に、財産の評価について判断がつかない場合は専門家に相談してください。この「財産目録」があるだけで、相続人は時間的な余裕が生まれかなり助かります。

お盆などで家族や親戚が集まるこの夏、少し自らの段取りで財産目録だけでも作ってみませんか。死んだ後に感謝されますよ!